田舎最強説??

 最近「田舎最強説」とか言われたりしていますが、確かにこのまちに住んで約6年、最強かどうかはわからりませんが、時々「田舎、強い」は感じます。

 例えば、東京で雪が数センチ積もったというニュース映像を見ていると、電車がストップし、帰宅できない人たちが駅にごった返していたり、交通事故が多発していたり、ハイヒールで転倒する女性がテレビ画面に映し出され、あたかもパニックのように報道されているでしょう。このニュースを雪の多いこのまちの人たちが見れば『???』でしょう。雪の降る日にハイヒールで歩く人はほとんどいないだろうし、ホワイトシーズンが近けば、車はスタッドレスに履き替える。その差は何かと言えば経験に基づいた、対処方を知っているかだと思います。

 このまちの自然景観は本当に美しいです。けれども自然と近い分、危険とも隣り合わせです。大雨では河川が増水し、避難を迫られるし、スズメバチやムカデなど危険な虫たちもたくさんいます。都市部から移住した私たちは地元の方々から、たくさんのことを教えられます。雪道の運転の方法から虫の対処法まで。暮らし方のマニュアルなんてありませんが、いつの間にか地元の人との、コミュニケーションの中で身についていくのです。もし困ったことは地元の人に聞けば、大抵教えてくれます。

 また「ムラ」と呼ばれる各地域ごとに昔から続いてきたコミュニティーがあり、さらにその中に「隣保」と呼ばれる、ご近所さん十数件の、まるで親戚のような距離感の小さなコミュニティーがある為、困った時に助け合う状況が常にあるのも、災害に強い理由の一つだと思います。ムラごとに毎年避難訓練が行われ、川の増水などで危険が迫ってくれば、すぐに避難所が開設され、各家に設置されている有線放送で情報が発信されます。人との距離が近い暮らしが苦手な方は、この暮らしは向いていないかもしれませんが、私たちは、このコミュニティのおかげで、安心して暮らすことができています。

 もう一つ、災害関連でいうと、「食料」についてよく考えます。私が暮らすムラでは、ほとんどの人が畑で農作物を育てていて、当分の間、食料に困る想像はつきません。我が家に関しても、ありがたいことに野菜はご近所さんから毎日のようにいただくし、妻は自宅に付いている、1アール程度の家庭菜園に夢中です。色々育てているらしいですが、最近はスナップエンドウが毎食のように食卓に並び、正直、最後の方はつらくなるほど食材にあふれています。

 これらのことから、災害でもし一定期間、物流がストップしたとしても、田舎はなんとかなってしまうのではと想像してしまいます。産業はもちろん大打撃だと思いますが、生命を維持することができる、コミュニティーの強さはあるでしょう。このまちに住む人たちはDIYの達人ばかりですから。

 最近、晴れた日は徒歩5分の場所にある川で我が家の娘は遊んでいます。3密も気にしないで遊べる環境が身近にある喜びを、コロナのおかげとは言いたくありませんが、感じてしまいました。このまちにきた時、「こんな何もないまちに何で?」と地元の方たちは、私たちのことを不思議がっていました。でも住んだ当初から感じていました。何もないというより、もうすでに揃ってるということ。我が家のエンタメは徒歩5分圏内の野外に色々とあふれています。

Tomohisa Kawauchi / Director